寒地土木研究所は現場密着型の技術開発、技術普及および地域における技術の向上等のため、道央、道南、道北、道東に支所を設置しています。各支所では研究開発の現地調査・試験の拡充と ともに、地域におけるニーズの把握や研究成果・技術の普及、技術指導を実施しています。
「技術者交流フォーラム」はこれらの活動の一環として、地域において求められる技術開発に関する情報交換、産学官の技術者交流および連携等を図る目的で、開催しています。
今回は「豊かな水産資源と美しい景観の醸成」をテーマに、平成21年7月30日(木)ロワジールホテル函館で開催し、産学官から約170名が参加しました。
北海道大学大学院水産科学研究院古屋温美特任准教授は、「函館の水産・海洋産業と地域振興への期待」と題し基調講演を行いました。漁村の地域振興方策を主な研究テーマにしている古屋氏は「漁業を源産業に食品製造業や水産物卸売業等の前方連関産業や、造船修理、網製造、機械製造等の後方連関産業との連携が産業振興につながる」とした上で、水産・海洋産業振興の新たなシナリオを提唱しました。
函館開発建設部中島靖次長は、道南地域の漁業生産の減少等の課題にふれ、限られた水産資源を持続的かつ有効に活用していくための提案として、日本各地での取り組み事例を紹介し、「消費者の需要に応じた生産・供給体制の構築」や「品質・衛生管理の重要性」を強調しました。
(社)北海道観光振興機構地域連携グループ藤澤義博マネージャー(函館青年会議所理事長)は「北海道の観光ポテンシャルは日本一」であることを強調し、これからの道南観光の動向・あり方として、漁村に滞在して漁業体験やその地域の自然や文化に触れ、地元の人々との交流を楽しむ、「ブルー・ツーリズム」を紹介しました。
寒地土木研究所水産土木チーム佐藤仁研究員は様々な磯焼け対策の研究を紹介し、その一つとして松前町江良漁港での人工動揺基質を使った実証試験から、人工動揺基質が藻場回復に効果があることを説明しました。
寒地土木研究所地域景観ユニット松田泰明主任研究員は、みなとまち函館の景観的特徴に触れ、再び訪れる人を増やすためには、観光資源としての景観だけでなく、函館市民の魅力的な生活景観創出こそが、本物の町の魅力となると訴えました。
(財)函館地域産業振興財団研究開発部材料技術科下野功科長は道南での水産系副次産物・廃棄物を利用した材料開発として、様々な利用事例を紹介し、特にホタテ貝殻を熱処理すると発光することから、新たな蛍光体材料(貝殻蛍光体)の開発に着手していることを紹介し、水産系副次産物・廃棄物の有効利用にとどまらず、「我が国の材料開発のトレンド」としていきたいと力説しました。
寒地土木研究所各支所では今後とも、各地域における産学官交流の場として技術者交流フォーラムを行っていきます。
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基調講演を行う古屋特任准教授 会場の様子
(寒地土木研究所 道南支所)