寒地土木研究所

  • 文字サイズ:
  • 文字サイズ「最大」
  • 文字サイズ「大」
  • 文字サイズ「標準」

イベント情報

 
寒地土木研究所ページトップ

寒地土木研究所イベント一覧

      寒地土木研究所 第24回技術者交流フォーラム in 北見
          「激甚化する雪氷災害の現状と課題」を開催しました


 技術者交流フォーラムは寒地土木研究所が地域で求められている技術開発に関する情報交換、産学官の技術者の交流および連携を図る目的で平成20年度から全道各地で開催しており今回で24回目となりました。

 今回は、「激甚化する雪氷災害の現状と課題」をテーマに、平成27年10月29日(木)に北見市内のホテル黒部にて開催しました。冬が訪れる直前の開催で、暴風雪災害を未然に防ごうとする社会的機運の高まりもあり、オホーツク圏外の道央・道東圏からの来場もあり、技術者交流フォーラムとしてはこれまでで最も多い246名の参加者を集めました。

 講演に先立ち、寒地土木研究所七澤馨審議役より開会の挨拶と当研究所の紹介が行われ、フォーラムが開始されました。

 基調講演は、北見工大名誉教授で日本雪氷学会会長も務める北海道立オホーツク流氷科学センターの高橋修平所長から、「雪氷災害と地球環境変動」と題してご講演をいただきました。高橋所長は、かつては最大積雪量が100cmを超えることがほとんどなかった北見市で、1997年以降は7度も超えている実態を指摘。この原因を「地球温暖化の影響」とし、温暖化により海面蒸発量が増加するので降水量は増えるが、オホーツク海側の冬場の気温は低いため雪として降り、積雪量が増えやすい。また、地球温暖化の影響で北極海の氷床面積は減少傾向にあるが、実は南極大陸の気温と氷床面積は50年前とほとんど変わっていない。地球全体としては赤道と極地の温度差が大きくなって夏も冬も低気圧が大きく発達し、夏は降雨災害、冬は暴風雪災害が激甚化する、とのお話しがありました。

写真(1)・(2)
写真:フォーラムの様子 写真:高橋氏
フォーラムの様子
基調講演を行う高橋氏

 続いて、当研究所雪氷チームの松澤勝上席研究員より、「近年の大雪・暴風雪の発生傾向と吹雪予測情報提供の取り組み」として講演がありました。北海道内で大雪や暴風雪が発生する際の低気圧の移動経路の特徴を分類した結果、2つの低気圧が合体する「二つ玉併合タイプ」の発生が多く、特に、1985~2014年度の冬期を10冬期毎、3期間に分けて集計した結果、大雪・暴風雪の発生件数はそれぞれ、3件、5件、11件と、近年、二つ玉併合型の発生件数が急激に増加していることを示しました。
 また、吹雪時のドライバーの安全支援のため、24時間先までの吹雪の予測情報をホームページやメールで提供する取り組みも紹介しました。利用者アンケートでは約8割の方が、この情報で視界不良が予測されたときに行動や予定を変更すると回答しており、9割の方が、これらのサービスに満足していると回答したことを報告しました。

 続いて北海道開発局網走開発建設部の山梨高裕次長より、「網走開発建設部における冬期防災の取り組みについて」と題し、網走開建のハード・ソフト両面での冬期防災についての取り組み状況が報告されました。先ず、ハード面では、湧別から紋別にかけて防雪林づくりなどを行っており、ソフト面では管内で重大な災害が予想される場合に現地情報連絡員(リエゾン)を自治体に派遣し、昨年度は暴風雪時に延べ115人を派遣した。また、紋別では民間会社と連携し、その駐車場を「ふぶき待避所」として開建側で緑色の案内看板を設置。暴風雪時に車を誘導する取り組み状況などについて、ご講演をいただきました。

写真(3)・(4)
写真:松澤上席研究員 写真:山梨氏
講演を行う松澤上席研究員
講演を行う山梨氏

 次に、株式会社FMオホーツクの藤澤利光社長より、「コミュニティFM放送局と防災について」のご講演がありました。藤澤氏は北見市内で長い間フリーペーパーを発行しておりましたが、2007年の北見市内の断水時に、「給水車が市内のどこに、何台あるかの情報を教えて」との市民の要望が数多くあったが、これに対応できるメディアがないことを痛感。災害時に住民が必要とする情報をリアルタイムに発信するメディアとしてコミュニティFM局を開局したとのことでした。

写真:暴風雪への備え

 最後に、日本赤十字北海道看護大学災害対策教育センターの根本昌宏教授から、「暴風雪による車立ち往生発生時の対処とその備え」のご講演がありました。暴風雪になったら外出しないことが第一。昨年度オホーツク地域では何度も暴風雪が来たが、国道などで通行止めが行われた結果、人命が失われなかったことは大きな実績と考えるべき。また、車での外出時に天気の急変で暴風雪に遭遇してしまった場合には、公的機関が発するローカルな情報を自分で取りにいくことが大切。本日配布されている「暴風雪への備え」のミニノートには、暴風雪に遭遇してしまった場合の対処方法がすべて入っているので、車に常備していただきたい。また、暴風雪警報が空振りしても、災害が起きて人命が失われるかもしれなかったが、何も起こらなくて本当に良かったと、好意的にとらえていただきたい、とのお話しがありました。

写真(5)・(6)
写真:藤澤氏 写真:根本氏
講演を行う藤澤氏
講演を行う根本氏

 閉会挨拶として、共催者である北海道開発局網走開発建設部の山岡敏彦部長より、講師の方々と参加者への謝意が述べられ、本フォーラムを終了しました。

 寒地土木研究所では、研究成果の普及や技術者の情報交換や交流の場として、これからも技術者交流フォーラムを全道各地で開催していきたいと考えております。

このページのトップへ