研究所ニュース
第9回全球エネルギー水循環プロジェクト国際会議(The 9th GEWEX-OSC)において、寒地土木研究所がステークホルダーセッションを主催しました
2024年7月8日~12日、札幌市において第9回全球エネルギー水循環プロジェクト国際会議(GEWEX-OSC : Global Energy and Water Exchange Open Science Conference)が開催されました。世界各国から1,000人を超える研究者らが参加し、成功裏に閉幕しました。
今回の札幌での同会議は、我が国における初めての開催でしたが、これは、気候変動等に関する研究成果の社会実装が、日本で特に進んでいることに対する高い評価が大きな理由の一つであり、会議においても、「社会実装」がキーワードの一つとなりました。
開催地の札幌市に拠点を置き、積雪寒冷地の特性を踏まえた社会課題の解決に資する研究開発を行うとともに、行政機関等と連携して研究開発の成果の社会実装にも積極的に取り組む寒地土木研究所は、研究発表にとどまらず、学会の運営、ステークホルダーセッションの開催等、本会議に多角的に参画し、その成功に大きく貢献しました。
第9回全球エネルギー水循環プロジェクト国際会議の動画が公開されました
活動記録
研究員による研究発表
当研究所からは、以下の研究員が学術セッション等において研究発表を行いました。
【7/8(月)】Session 03 - Regional Hydroclimate Systems Research
山田 嵩(水環境保全チーム)
Relationship Between Snow Cover Distribution And Topography/Vegetation Using Airborne Laser Scanning In Japan
【7/11(木)】Session 16 - Novel monitoring, modelling and benchmarking towards improved process understanding and prediction of land-atmosphere interaction
内藤 大悟 (水環境保全チーム)
Proposing A Method For Predicting Future Peatland Development Through The Construction Of A Photosynthesis-Inclusive Peat Accumulation Model
【7/11(木)】Session 27 - Early warning of climate and disaster risk management
星野 剛 (水環境保全チーム)
Impacts Of Climate Change On Monthly Dam Inflow In Japan
原田 裕介 (雪氷チーム)
Investigation Of Evaluation Indexes For Severe Snowstorm Events In The Snowy Cold Region Of Japan
松下 拓樹 (雪氷チーム)
Recent Trends In The Onset Of The Snow Melting Season Related To Wet-Snow Avalanches In Hokkaido, Japan
ステークホルダーセッションの開催
今回の会議の大きな特徴の一つとなったのが、「社会実装」に取り組む関係者らと連携するステークホルダーセッションの実施でしたが、寒地土木研究所も4日目となる7月11日(木)に同セッションを開催し、5つの研究チームより、学術的な研究から、社会課題の解決に直結する研究まで、幅広い取組を紹介しました。(下記の発表資料のうち、一部は概要版を掲載しています。)
島田 友典 (寒地河川チーム 主任研究員)
世界最大規模の実験水路を活用した越水破堤実験 ~十勝川千代田実験水路~
岩﨑 慎介 (寒冷沿岸域チーム 主任研究員)
オホーツク海の海氷減少に伴う波浪増大
菅原 邦泰 (雪氷チーム 研究員)
大規模アンサンブル気候予測データによる北海道の吹雪イベントに対する気候変動の影響評価
山田 嵩 (水環境保全チーム 研究員)
日本における航空レーザー測量による積雪分布と地形・植生との関係性
矢部 浩規 (寒地水圏研究グループ長)
沖合域人工魚礁や漁港周辺の水産環境モニタリング調査技術 ~効果的な水産資源増殖・保全と藻場による脱炭素化社会に向けて~
その他のステークホルダーセッションへの参画
他の機関が主催するステークホルダーセッションにおいて、寒地土木研究所の研究員らがスピーカーやファシリテーターを務めました。
その他(札幌実行委員会への参画、iRICブースの運営支援)
寒地土木研究所長が実行委員会の委員を務め、開会式等の主要行事に出席しました。また、複数の研究所職員が事務局の作業部会に参画し、会議プログラムの充実及び円滑な実施に尽力しました。 企業等の展示コーナーでは、河川の流れ・河床変動解析ソフトウェアiRICを紹介するブースにおいて、寒地河川チームの研究員が来場者への説明等の一部を行いました。