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イベント情報

 
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      第28回 技術者交流フォーラム in 稚内
       「地域に貢献する道北の農林水産技術とその環境」を開催しました


 技術者交流フォーラムは、寒地土木研究所が地域において求められている技術開発に関する情報交換、産学官の技術者の交流及び連携等を図る目的で、平成20年度から全道各地で開催しており、今回で28回目となりました。

 今回は、「地域に貢献する道北の農林水産技術とその環境」をテーマとして、平成28年10月18日(火)に稚内サンホテルにて開催しました。8月には4度の台風が北海道に来襲し、9月には宗谷管内で記録的な大雨による冠水等、非常に厳しい気象災害の後でしたが、無事開催することができ、宗谷地方を中心に、地元企業や官公庁等から76名の参加がありました。

 主催者を代表して、鎌田照章寒地土木研究所長より開会の挨拶と研究所の紹介が行われました。

 基調講演では、北海道大学大学院水産科学研究院特任教授(名誉教授)の門谷茂氏から、「水産から見た環境調和型の沿岸域開発と利用」と題して、ご講演をいただきました。 はじめに、北海道の日本海とオホーツク海の漁業生産額の違いについて、オホーツク海側にはサケやホタテのような高価な漁業資源が多いことが特徴であるとの指摘がありました。 また、北海道大学の練習船「うしお丸」の観測データ等をもとに、オホーツク海では日本海よりも生物生産力が高い理由を解説していただきました。それによると、漁業生産量に影響を与える要因は塩分、水温、光、栄養塩濃度、微量金属濃度であること、オホーツク海側には日本海からの海流が流れ込んでおり、天塩川及びその支流のサロベツ川から供給される栄養塩や鉄分が大きく寄与しているとのことでした。 天塩川といえばシジミが有名ですが、水域の漁業生産力を上げるには、最も効率的に肉を作る生物である二枚貝の生息場所を確保することが最も重要であること、また、沿岸地域の開発にあたっては、栄養塩、光、健全な生態系の確保に留意することが重要との提言がありました。

写真1・2
写真:フォーラムの様子 写真:基調講演の様子
フォーラムの様子
基調講演を行う門谷特任教授(名誉教授)

 次に、当研究所の竹内英雄寒地農業基盤研究グループ長より、「バイオマスに関する研究」と題する講演を行いました。まず、バイオマスの概要や利用方法、メリット等について説明し、酪農が盛んな北海道では家畜の排泄物をバイオガスとして活用しており、現在、十勝地方を中心に79基のバイオガスプラントが稼働しているとのを解説を行いました。バイオガスが燃料や熱源として利用されるほか、優れた肥料が生産されること、また、当研究所では、バイオガスプラントの設計や運営に重要なエネルギー収支に関する調査研究を行っており、エネルギー収支に関するシミュレーションプログラムを無料で提供していることを紹介しました。

 続いて、(地独)北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場森林環境部機能グループ研究主幹長坂晶子氏より、「地域住民は「流域」をどのように捉えているか?-聞き取り調査からみえる住民の自然認識-」と題するご講演をいただきました。河川の流域では、歴史的には利水、治水、漁獲に関して、現代では上流から下流への負荷、自然保護と利水・治水に関して、利害関係が多様かつ複雑に絡むことから、利害調整の仕組みが重要との指摘がありました。風蓮湖の例では、酪農開発の進展につれてシジミ漁獲量が減少したため、その対策として家畜屎尿処理の徹底、飼育頭数制限の検討、植樹活動のほか、酪農家と漁業者の連携による対応が行われているとのことです。上下流の合意形成や、環境保護意識の醸成に向けて、流域住民へのアンケート調査を行った結果、酪農家と漁業者とで回答に現れる語彙が明確に異なること、双方に共通する語彙の不足が相互理解の妨げとなること、また、地区単位では共通の認識を得やすい傾向が見られたとのことでした。流域の上下流での情報交流、情報共有が重要であること、環境保全活動は地区単位で持続的に実施可能であることが重要との提言がありました。

写真3・4
写真:竹内グループ長 写真:長坂氏
竹内グループ長の講演
長坂研究主幹の講演

 続いて、特定非営利活動法人映像コミュニティ・ムーブユー事務局長の牧野竜二氏より、「宗谷からの情報発信」と題してご講演をいただきました。映像コミュニティ・ムーブユーは、2002年に稚内北星学園大学の学生が設立したもので、地域の映像撮影や、情報発信サイト「さいほくネット」による情報提供、情報交換を行ってきたとのことです。また、現在では、急速に普及したSNSがこれに代わっており、稚内の大雨災害の情報は、ツイッター映像が最も早かったとのことでした。このほか、行政は積極的な情報発信を行い、地域外からの注目や、地域内の地域への愛着を醸成すべきであるとの提言がありました。

写真5
写真:牧野氏
牧野氏の講演

 最後に、共催者を代表して北海道開発局稚内開発建設部の丸井亮次長より、講師の方々と参加者への謝意が述べられました。

 今回の内容に関し、参加者へのアンケート調査を実施した結果からは、「大変参考になった」、「有意義であった」等のご意見を多数いただきました。  寒地土木研究所では、今後も研究成果の普及や技術指導等を通じた地域貢献を念頭に、皆様と積極的に情報交換や連携等を行い、幅広い関係者との交流ができるようなフォーラムを開催していきたいと考えております。

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