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イベント情報

 
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    第31回 技術者交流フォーラム in 倶知安
    シンポジウム:食と観光でデザインするVol.2~世界を魅了する後志のつくりかた~を開催しました

 技術者交流フォーラム事業は、地域において求められる技術開発や北海道総合開発計画の推進に資する技術開発等に関する情報交換、産学官の技術者交流及び連携等を図ることを目的とし、平成20年度から北海道各地で開催し、今回が31回目となります。 
 今回は、「食と観光でデザインするVol.2~世界を魅了する後志のつくりかた~」と題し、世界の多くの国々から来てもらえるような魅力ある後志としての具体性(誰に・何を・どう伝えるのかなど)について検討することを目的に、平成30年2月1日(木)、倶知安町文化福祉センターにて、北海道開発局小樽開発建設部との共同で開催し、当日は371名の参加がありました。

写真1
写真:会場の様子
会場の様子

 講演に先立ち、主催者を代表して柳原優登小樽開発建設部長より、開会の挨拶があった後、第Ⅰ部では、基調講演として、ジャパンプレミアムインターナショナル株式会社代表取締役社長の大久保実氏から、「先行優位・後攻有利~しりべしの未来~」と題するご講演をいただきました。基調講演ではまず2年前に行った第1回の講演内容をふりかえり、現在も海外の方からニセコ・倶知安のエリアが注目されていること、後志エリアは、観光産業、農業にとっても、国内外から注目をされているエリアであり、その追い風として、高速道路の延伸と新幹線は非常に大きいと説明がありました。観光産業はこのまま大きく成長していくが、住民のストレスは増え、我慢を強いられることが、世界のいろいろな観光地で課題となっていると指摘されました。そこで後志エリアのお手本となるのが、コペンハーゲンの事例であり、「観光の終焉」という戦略を観光局が出していることを紹介されました。これは、見栄えの良い観光地の美しい写真でマーケティングするのではなく、観光はもっと地域住民や企業、そして観光客が一緒に作り上げていくものになるべきだとの戦略です。最後に、これから後志エリアというのは、世界で認められている地域に成長していくと述べられました。
  講演では、北海道開発局 開発監理部次長の倉内公嘉から「世界の北海道を目指して~第8期北海道総合開発計画~」と題して、なぜ北海道総合開発計画で観光施策を行っているかという話をいただきました。様々な観光関連の施策・事業の紹介や、外国人ドライブ観光の推進という観点から、外国人のレンタカー利用者に関する社会実験の結果などを通して、外国人レンタカー利用者の移動経路や、滞在した場所などについて説明がありました。これから余市まで高速道路が伸びて、倶知安まで着々と事業は進んでいく、そして、札幌から倶知安まで一気に行けてしまうことになるが、この間を立ち寄るという理由を持つことが地域の観光を考える上で大事な要素であると述べられました。 

写真2・3
写真:ジャパンプレミアムインターナショナル株式会社 大久保 実 氏 写真:北海道開発局 開発監理部次長 倉内 公嘉 
ジャパンプレミアムインターナショナル株式会社
大久保 実 氏
北海道開発局 開発監理部次長 倉内 公嘉 

 次に、寒地土木研究所技術開発調整監の太田広から「食と観光による地域デザインを支援する技術開発~土木研究所の研究開発プログラムから~」と題し、寒地土木研究所の紹介、食と観光について土木研究所の研究成果がどのように貢献できるのかという観点でいくつかの研究内容を紹介しました。食については、圃場の地下水位制御により美味しいお米を生産できる可能性があることや、漁港を上手に活用して栽培漁業を支援する技術開発、観光に関しては公共空間の設計技術・デザインに関する研究、景観に関しては、電線地中化のための技術開発・試験結果が紹介されました。今後も地域社会に貢献できるよう研究開発を進めていきたいとの話がありました。

写真4
写真:寒地土木研究所 技術開発調整監 太田 広 
寒地土木研究所 技術開発調整監 太田 広 

 第Ⅱ部では「私たちが目指す食と観光のデザイン~2年間を振り返りその先へ~」と題し、石塚水産代表取締役石塚貴洋氏、株式会社北海道ニッカサービス営業部主任尾森加奈恵氏、株式会社髙橋牧場ニセコミルク工房店長高井裕子氏、神恵内村魅力創造研究会会長松本遊氏、ジャパンプレミアムインターナショナル株式会社大久保実氏の5名がパネリストとなり、北海道開発局の倉内次長がコーディネーターとして、パネルディスカッションを行いました。最初に各パネリストから自己紹介と、前回の講演時に示されたそれぞれのお立場での2年間の取り組みの内容と経過などをご紹介いただいた後、2つのテーマについて各パネリストによる意見交換を行いました。

写真5
写真:パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子

 まず、「消費単価を高めて、リピーター確保に必要な多様性とは」というテーマについて、パネリストの方々からお話をいただきました。
 尾森氏からは、ニッカウヰスキー余市蒸留所の来場者数の外国人の国別割合を元に、一人当たりの観光支出額が高いオーストラリア・スペインの方を呼び込むことができれば良いという話や、新幹線や高規格幹線道路が今後整備されることで、所要時間が短縮され、この便利さは観光客への最高のおもてなしになる、また、後志に来られるお客様へ後志の資源を活用したお土産品の提供、後志を楽しく周遊していただくサービスを提供できる新しいチャンスだと考えているとの話をいただきました。
 また、高井氏からは、国内外問わず年間を通した観光客を誘致するためには今後どうすべきか、深刻な人手不足によりサービスや質の低下とならないよう、働きたい女性を支援して、女性の活躍の場や子育てし易い環境を作っていきたいとの発言がありました。

写真6・7
写真:株式会社北海道ニッカサービス 尾森 加奈恵 氏 写真:株式会社髙橋牧場 ニセコミルク工房 高井 裕子 氏
株式会社北海道ニッカサービス 尾森 加奈恵 氏
株式会社髙橋牧場 ニセコミルク工房 高井 裕子 氏

 次に、「戦略の推進に必要な選択と連携とは」というテーマでパネリストの方々からお話をいただきました。
 松本氏からは、神恵内村には自分たちが気付いていない魅力がたくさんあり、そのような魅力を自分たちが知って、魅力を創造するため、魅力創造研究会を立ち上げたこと、そして、イベントを実施し、来た人との交流を大事にしながら、リピーターを増やしてきたこと、それによって、神恵内村への観光客が増えてきたとの話がありました。さらに今後は、近隣町村の人とお互いの魅力をマッチングすることで、もっと魅力的な地域づくりができること、地域住民が同じ方向性、モチベーションを持って、楽しく、稼げるような地域づくりをしていくことが、一番理想的な展開であると述べられました。
 また、石塚氏からは、地域の高付加価値化と言われるが、単純に値段を上げることが目的ではなく、来てくれた方の顧客満足度と住民の幸福度が揃っていなければ長続きしない、そして、世界を魅了する後志をつくる上で、素材や人材は揃っており、リソースの振り向け方、仕組みづくりを考えていきたいとの話をいただきました。
 最後に、鎌田照章寒地土木研究所長から閉会の挨拶として、講師やパネリストの方々や参加者に対する謝意が述べられました。
 

写真8・9
写真:神恵内村魅力創造研究会 松本 遊 氏 写真:石塚水産 石塚 貴洋 氏
神恵内村魅力創造研究会 松本 遊 氏
石塚水産 石塚 貴洋 氏

 今回の内容について参加者へアンケートを実施した結果、「大変参考になった」、「参考になった」と回答した方が95%を占め、「世界観光の最先端の話を聞くことができ有意義だった」、「パネルディスカッションの内容がとても良かった」、「観光客だけでなく地元住民も幸せにというのが一番心に響いた」、「皆様の話が大変わかりやすかった」などのご意見をいただきました。寒地土木研究所では、技術者交流フォーラム事業をはじめ今後も研究成果の普及や技術指導等を通じた地域貢献をしていきたいと考えています。

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