寒地土木研究所

  • 文字サイズ:
  • 文字サイズ「最大」
  • 文字サイズ「大」
  • 文字サイズ「標準」

イベント情報

 
寒地土木研究所ページトップ

寒地土木研究所イベント一覧

    第36回 技術者交流フォーラム in 帯広
    「とかち地域における情報通信技術を活用した未来に向けて
       ~生産空間におけるICT技術を活用した取組~」を開催しました

 1.はじめに
 技術者交流フォーラム事業は、地域において求められる技術開発や北海道総合開発計画の推進に資する技術開発等に関する情報交換、産官学の技術者交流及び連携を図ることを目的とし、平成20年度から北海道各地で開催しており、今回が36回目となります。
 今回は、とかち地域の生産空間での農業、交通及び行政でのICT(情報通信技術)の取り組み状況を紹介し、ICT技術を活用した未来像を求めることをテーマとし、令和元年10月1日(火)、とかち館にて、国土交通省北海道開発局帯広開発建設部及び公益社団法人日本技術士会北海道本部と共同で開催し、139名の参加者がありました。
 講演に先立ち、帯広開発建設部の竹内正信部長より開会の挨拶、フォーラム事業の位置付け、テーマの概要及び講師の紹介が行われ、催しが始まりました。

写真-1
写真-1:シンポジウム会場の様子
写真-1 シンポジウム会場の様子


 2.講演概要
 基調講演では、帯広畜産大学環境農学研究部門の佐藤 禎稔教授より、「とかち地域における情報通信技術を活用した未来に向けて」と題して、 大規模畑作地帯で期待されるロボットトラクタとスマート農業についての講演をいただきました。講演では地域の農業を取り巻く現状としては、 農家戸数の大幅な減少に伴う経営規模の拡大や圃場区画の拡大により、労働者不足が深刻な課題であり、可変施肥や農薬の精密散布、作業の高精度・ 自動化など、スマート農業(精密農業)が求められている。スマート農業とは、播種や施肥などの作業を従来のように均等にではなく,必要なところに 必要なだけ行うものであり、圃場内の土壌特性,作物生育量,および収量といったばらつきを科学的に理解し,農家の生産性、収益性の向上と環境負荷の 軽減を同時に目指す手法であること。農作業機械から各種情報をモニタリングし、ドローンなどから得られた土壌情報などと共にマッピングし、これらの 情報から、面的な播種や施肥、防除作業を解析し、ロボットトラクタなどに取り付けた農作業機械に自動的に行わせる事であることなどを述べられました。 ロボットトラクタの技術は、テレビドラマなどより遙かに進展しており、各種の規制などから道路の自動走行が制約されるものの、圃場周辺からの監視下で、 煩雑な作業が必要な畑作に対して、単独無人作業が実現できる状況にあり、昨年の農林水産技術会議において、10大ニュースとして、取り上げられたことなど、 ご説明を頂きました。本年度の研究として、とかち地域で最も作業内容が複雑で精度が求められる、バレイショの耕起から播種、防除及び収穫までの一連の作業を ロボットトラクタに行わせる実証実験を実施中であること。スマート農業の普及により、労働者不足の解消、作業や機械コストの縮減及び作物の高品質化が期待されるが、 今後はこれらを使いこなせる人材の育成が肝要であるなどの講演がありました。

写真-2
写真-2:帯広畜産大学 佐藤教授
写真-2 帯広畜産大学 佐藤教授


 上士幌町の竹中貢町長の講演では、「ICTを活用した町づくり」と題し、上士幌町のICTを活用した、ふるさと創生についての講演をいただきました。講演では官民連携による雇用と稼ぐ力のため、ナイタイ高原牧場のレストハウスや道の駅の運営、宿泊、旅行業や商品開発、広報活動、イベントの開催、町内各団体との連携、バイオガス電力の小売、観光計画・戦略の策定支援などを行う、観光地域づくり法人(DMO)候補登録の上士幌町観光地域商社の取り組みについて説明がありました。ふるさと納税・生涯活躍いきがい基金を活用した健康ポイント事業などの地域創生により、人口が増加傾向にあること。町内全域に光回線による高速情報通信網を整備し、5G回線を活用した4Kカメラ画像による酪農の牛体管理、 公共交通ネットワークの隅々まで行き届いた整備に向けた自動運転バスの実証実験の実施、バイオガス発電を活用した小規模送電網により、ブラックアウト時でも電気が使用できるメリットを生かしたテレワーク拠点やシェアオフィスの整備などを紹介されました。数年前までは消滅可能性都市と言われた町が、情報通信技術を活用した先駆的な取り組みにより、出生率の向上、高齢化率低下、平均所得の向上など、地域創生により過疎から蘇った上士幌町の取り組みについて講演がありました。

写真-3
写真-3:上士幌町 竹中町長
写真-3 上士幌町 竹中町長 


 十勝バス株式会社の長澤敏彦事業本部長の講演では、「十勝管内における交通事業のICT活用について」と題し、地方の公共交通を取り巻く課題に対する、ICT活用についての講演をいただきました。講演では、地方の公共交通を取り巻く課題として、サービスエリアが広大であり、公共交通機関の利用低下が進み、便数や路線の維持が困難な中で、戸別訪問など細やかな聞き取り調査により、潜在的なバスを利用したいとのニーズに対して、その足枷となっている利用者の不安の解消や目的を達成させるための取り組みにより、近年、利用客数を増加させることができたこと。その他、インバウンドに向けた情報提供や、乗り換え案内アプリ、バスロケーションシステム、電子マネー決済などのICTを活用し、更に利便性を高める取り組みを行っていること。将来的には、MaaSの活用により、公共交通機関の間の垣根を越えた、十勝らしい「食」「農」や「商業」、そして、「医療」「ヘルスケア」と繋がるなどの講演がありました。
写真-4
写真-4:十勝バス 長澤事業本部長
写真-4 十勝バス 長澤事業本部長


  寒地機械技術チームの片野浩司上席研究員からは、「ICT活用による視程障害時の除雪車運行支援技術」と題して、近年の除雪作業における課題に対する取り組みについて講演を頂きました。 講演では、近年、異常気象に伴う暴風雪による通行止めが増加するなかで、高齢化及び担い手不足により熟練オペレータが不足していることから、暴風雪による視程障害時でも安全に除雪作業が行える除雪車運行支援技術が重要であり、これを実現するために、自車位置を推定し車線逸脱を防止する「車線走行支援技術」と除雪車周囲の人や車両を探知する「周囲探知技術」について、最新の調査、研究及び開発状況の説明がありました。また、知床峠で進めているi-Snowロータリ除雪車による実証実験の状況の説明を頂き、今後は、自車位置推定システム及び周囲探知システムのガイダンス装置を試作し、ガイダンス性能及びオペレータへの適応性を検証することなどの講演がありました。

写真-5
写真-5:寒地機械技術チーム 片野上席研究員
写真-5 寒地機械技術チーム 片野上席研究員


 3.おわりに
 参加者アンケートでは、「テーマが、現在~近未来の技術として適切であり、活用分野のバランスも良かった。」、「自治体、企業における具体的な取組を聞くことが出来た。」などの感想を頂き、「大変有意義であった」及び「有意義であった」と回答した方が多数を占めました。 多数のご参加及びアンケートのご協力ありがとうございました。講演者並びに本催しの開催にあたり、ご協力いただきました関係各位に御礼申し上げます。


このページのトップへ